世界がみえる 北朝鮮をめぐる東アジアの安全保障問題
今年2月、北朝鮮外務省は「自衛目的の核兵器を製造した」と公表。「核兵器はどこまでも自衛的核抑止力として存在する」などとしています。この核兵器の保有と、昨年6月末以来中断されていた六カ国協議の無期限中断を表明したことをうけて、東アジアの安全保障問題に焦点が集まっています。

現在、原子力の平和的利用と軍事的利用に転用されることを防止することを国際的に管理しようという国際原子力機関(IAEA)と、核保有と開発を禁じるNPT条約があります。北朝鮮は1993年3月、核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を表明。また、IAEA保障措置協定の遵守を拒否し、2002年12月に査察官を追放しました。

問題は現体制では、未加盟の国々で核を保有する国は存在しているということや、また北朝鮮のように脱退をして核保有宣言をする国に対して、何らそれを阻止するための具体的な手段が存在しないということです。
そのため、核保有疑惑のある北朝鮮と友好的会談と平和的解決でもって核開発を断念させるための協議をする、という目的で六カ国協議が始まりました。六カ国協議には北朝鮮、アメリカ、ロシア、中国、韓国、日本が参加していますが、北朝鮮の核保有宣言をうけて、国際社会全体がさまざまな対応を示し、北朝鮮の核保有に対する関心度の高さが伺えます。

欧州連合(EU)は、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の理事会メンバーでもあったため、当初から六カ国協議の行方には関心をもっていました。3月10日に開かれた2年に1度開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)との閣僚会議では、北朝鮮に六カ国協議に復帰するよう要求する議長声明を発表しています。また、IAEAの理事会は、核開発廃棄と六カ国協議に復帰するよう北朝鮮に求める議長総括を全会一致で採択しました。

そもそも北朝鮮が核保有宣言に踏み切った背景には、北朝鮮が六カ国協議を外交カードの一つとして利用し、現北朝鮮体制の保証を、核凍結への対価として求める戦略に出たのではないかと考える専門家もいます。

問題はこういった駆け引きにアメリカや関係国が応じるかどうか、といったところでしょう。当面は北朝鮮への影響力が強いと見られている議長国の中国の出方に関心がむかっています。
日本では経済制裁や、国連安全保障理事会をとおした制裁への期待がひろがっていますが、アメリカは今後の北朝鮮への対応を協議する為、ライス大統領補佐官が日本、韓国と中国を訪問する予定になっています。なかでも六カ国協議の議長国で、北朝鮮への影響力が強いとみられている中国訪問に関心が集まっています。
果たして北朝鮮に対してどのような手段でもって核廃棄を諭すことにするのか注目です。(3/17日現在)。
(Photo / (c)CORBIS JAPAN)

国際原子力機関(IAEA)についてはこちら
核兵器不拡散条約(NPT)についてはこちら
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO) についてはこちら

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。現在は株式市況のレポーターとして日経CNBCに出演中。

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