世界がみえる バチカンの法王と国際政治
ヨハネ・パウロ2世が死去し、ローマ法王の選出会議(コンクラーベ)は4月19日、新法王を選出しました。世界はカトリック教会がどういった指導方針を持つのか注目しています。

日本ではカトリック人口が小さいということもあって、主要ニュースしか伝わってきませんが、実際、国際的には大きな出来事であり、米誌Newsweekや英誌The Economistなどはヨハネ・パウロ2世を20世紀の代表的な偉人として扱い、特集するほどとなっています。これほどまでに注目されているヨハネ・パウロ2世はいったいどういった人物だったのか?

ヨハネ・パウロ2世は455年ぶりに選ばれたイタリア人以外の法王で、26年半法王職を務めました。積極的な「バチカン外交」を行い、在任中には歴代の法王をしのぐ最多の104回の外遊を成し遂げ、129カ国を訪問。別名「空とぶ法王」の愛称でも親しまれました。いわゆるカトリック教の精神的指導者でありながら、スーパー外交官でもあったのです。

米大統領とも会い、イランのモハメット・ハタミ大統領、キューバのフィデル・カストロとも会談。1986年にはローマのユダヤ教会堂(シナゴーグ)を法王としては初めて訪問し、イスラム教やロシア正教会など、異なる宗教との対話をすすめました。また、中世に行われた異端審問、十字軍の遠征、新大陸到達後の原住民抑圧など、キリスト教の歴史的な過ちの謝罪もし、カトリック教会に対する不信感を払拭にも努めています。

冷戦終結の陰の立役者などとしても知られ、パレスチナ紛争、イラク戦争に対しては積極的な平和外交を展開。平和を追求するその信念と姿勢は世界中の政治リーダーたちの尊敬を集め、それを裏付けるように葬儀には200カ国あまりいから首脳級の要人およそ1000人の大弔問団が列席しました。

そんな世界中の人気を集めた前法王は、カトリック信者たちの誇りでもあっただけに新法王への期待も高まっているようです。21世紀の国際社会の行方を担う、およそ11億人の新たな指導者は、前法王のように積極的な外交を続けるのか。教会内部の改革は進めるのか。
今回新法王の選出にあたっては、最有力候補とみられていた保守派のラツィンガー枢機卿団長のほかにもアフリカや中南米の枢機卿があがるなど、予測が難しいと思われていました。結局大本命のラツィンガー枢機卿(ベネディクト16世)が二日目にして、予想外にもすんなりと選ばれました。強い影響力を誇ったヨハネ・パウロ2世と比べられすでに厳しい論評もでていますが、新法王は教会をどう指導するのか、その発揮する手腕の評価はこれからです。
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丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。現在は株式市況のレポーターとして日経CNBCに出演中。

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