世界がみえる 世界で活躍する日本人

日本は第2次世界大戦後、華族制度廃止と財閥解散などにともない、「一億層中流社会」という安定した社会を築いてきた。ただ、いまの政府は「構造改革」の名の下に社会格差をも厭わない、競争を奨励し、「出る杭は打たれない」社会を目指そうとしている。日本の将来像はきっと今のアメリカに似たようなものになる可能性がでてきた。

キャリアに成功したNY在住の友人はマンハッタンでの生活を謳歌している。平日はマンハッタンの中心街から程近いセントラルパークを見下ろす高級マンションに住まいを構え、週末は郊外かマイアミの別宅で過ごす。犬を飼っていても、ドッグウォーカーという散歩屋さんがいるので平日仕事をしていても心配ない。ハウスキーパーが部屋をきれいにしてくれるので仕事をしていても家事をする手間からは解放される。ベビーシッターも簡単にお願いできるから子どもがいても問題ない、という。

一方で、NYマンハッタンでは生活水準のずっと低いひとたちも働いている。街中でごみを集めているひとたちも、タクシーの運転手たちも同じNYの住人でありながら成功した弁護士や銀行家などとは明らかに生活水準が違う。

「一億総中流社会」に慣れてしまった私たちにとってきっと一番の不安は、競争が奨励されるあまり、「落ちこぼれてしまう」ことである。競争に負けたものは社会から排除されてしまうのか。その不安の対処方法として最近よく政治討論などであげられている「再チャレンジできる社会」の主張。ただし、再チャレンジしてももとの生活水準は維持できるのか。あきらめて生活レベルを下げていくしかないのか。この先はみすぼらしい老人になるしかないのか。実際、総務省統計局によると年齢を追うごとに所得格差が開いている。

結局いまの投資ブームの背景には、老後の社会保障に対する不安と、老後の所得格差に対する不安などがある。既に働き盛りの30代時点での所得格差は顕著である。某人材ソリューションサービス提供会社(転職を支援する会社)のホームページをみると、職種別での平均年収の大きな差がある。勝ち組、負け組、の枠を嫌ってそういった固定観念を持つべきでない、との反論も世にはたくさんあるが、現状を見つめてみるとやはりこのさき、格差社会は免れ得ないのが現実なのではないだろうか。

◆ 総務省統計局:年間収入階級別の状況
◆ 総務省統計局:全国消費実態調査トピックス

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。現在は株式市況のレポーターとして日経CNBCに出演中。

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