世界がみえる アンティーク事情で見直す、物を大切にする心

古いものを大切にする心。その心が生み出したのが「アンティーク」なのです。最近は景気が回復していることも追い風になって、また古いものを見直す人々も増えて「アンティーク」ものが再び注目されています。「アンティーク」のもつ魅力は古いからこそ出てくるその持ち味と温かみにあるのでしょう。また、その「モノ」の歩んできた歴史が人を魅了し、それを作りえた人に対する尊敬の積み重ねがその価値を高めていきます。

昔から大切に利用され、代々受け継がれていって価値が高まってきたようなものが「アンティーク」ものでしょう。「アンティーク=古い」とはいえ現役で活躍している道具は多く、好んでアンティークをコレクションする風習のあるイギリスではいたるところで目にする機会があります。学生生活においては日本でもてはやされ何万円もの値段で売られている椅子やテーブルは図書館に行けばいくつも並んでいたり、また、リビング用のソファやテーブルなども寮のいたるところに置かれ、学生同士の交流の場となっていました。

アンティークとして大切に保存され、再利用されるのは家具だけではありません。イギリスでは代々受け継がれていった宝石類、貴金属類(中でも花嫁道具として大切にされる銀食器)を取り扱うお店を街でよく見かけます。また宝石や貴金属類を手がける一流の小売店でも「再生」サービスを行っているのが一般的です。イギリスを代表する宝石と銀食器の老舗「Mappin & Webb (マッピン・アンド・ウェッブ)」のホームページでもその再生サービスをうたっています。

現在注目度の高い「アンティーク」は家具や装飾品。日本においては数年前にアンティーク着物ブームもあったようですが、それら以外に「骨董品」として伝統工芸品などが昔から大切にされています。お茶席に行けばお茶碗はじめ古くから使われ続けている道具が現れ、手に取ることもあります。作られた当初は名のないものであったとしても時代を経るにつれ、価値が増したものという骨董品は少なくありません。

近代化とともに「消費大国」の道を歩んできた私たちは「使い捨て」をよくしてきました。「アンティーク」が再び注目されてきている背景にはそれに疲れてしまっているからなのではないでしょうか。失われつつある「物を大切にする心」を再び見直す時期にきたのかもしれません。

自分が大切にしていた時計を孫にプレゼントし、それがさらにその孫に受け継がれていけばその時計は五つの世代を見守ってきたことになります。自分でも「アンティーク」の風習を始めることは可能なのです。みなさまも「アンティーク」の習慣を始めてみませんか。

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経たあと、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。

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