バージニア工科大学銃乱射事件
バージニア工科大学銃乱射事件

米国、バージニア工科大学でアメリカ史上最悪の銃乱射事件が起きた。捜査当局は容疑者を韓国人の大学生だと発表し、メディアの報じるところによると大きな波紋がアメリカ在住の韓国人社会で広がっているという。

現在、韓国ではアメリカへの留学生は9万人以上といわれ、さらにそれ以外にも永住権をもった米系韓国人がアメリカに住んでいる。米国連邦人口統計局によると2003年の韓国人合法移民者数はおよそ120万人強(全米人口の0.43%)。今回の容疑者もグリーンカード保持者だった。

アメリカ全体からみると少数ながらも韓国人社会は都市部に集中し、その結束力は強いと見受けられる。事件の第一報をきいて米系韓国人の最初の反応は「韓国人でありませんようにと祈った」という声や、韓国人社会に対する報復や反発を懸念する声を紹介する記事をNYタイムズはじめ、いくつかのメディアが報じた。確かに事件を起こしたのは韓国人だった。しかし、在米韓国人や韓国人が責めや負い目を感じなければならないことではない。容疑者は個人の事由で事件を起こしている。逆にこういった記事は、図らずも「自由の国アメリカ」には民族間の偏見と対立が存在していることを浮き彫りにしているではないかと感じる。

偏見はどこにでもあってアメリカに限らない。いわゆる「ステレオタイプ」というもので、旅行していても、映画を見ていても自らの民族性を意識させられる人は多いだろう。国内にいても、「外国人って○×だよね」という外国の人たちをひとくくりにするような発言や「最近の若い子は」「最近のお年寄りは」といったことを耳にする。個人をみて評価をするのではなく、集団を色眼でみて人を判断してしまうのである。それも概して批判や悪意が含まれているものほど耳にするのは不思議なことである。

今回の事件においては特にこのような過ちを犯してはならない。「帰国子女は自己主張が強い」という声を聞いたことがあるが私はこの限りにおいては「帰国子女」に類されても否定はしない。ひとりの精神病を患った大量殺人の容疑者をまるで「韓国代表」のような捕らえ方はまずしてはならないと信じている。

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経たあと、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。

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