Human Trafficking---急速に増えている人身取引
Human Trafficking---急速に増えている人身取引

イギリスでは「奴隷貿易廃止の条例」が可決されてから200周年を迎えた。しかし近年、国連薬物犯罪オフィス(UNODC)は「Human Trafficking (人身取引、人身売買)」によって売春行為や強制労働されるようになってしまった人々が、世界中に急速に増えていると指摘している。日本も例外でないどころか、ブローカーの好適な到着地であることをどれくらいの日本人が知っているのだろうか?

日本国内で人身売買などの問題に取り組んできた NGOや研究者などのネットワーク、JNATIP(人身売買禁止ネットワーク)の調査によれば「日本行きを勧誘する人は、多くが職場の同僚や友人、近所の人、親戚などであり、こうした身近な人が女性を送り出し業者に紹介していた」「本人の認識はあくまでも家計を支えたり、借金を返すための出稼ぎである。しかし平均して400万にもなる渡航費用を返済するまでは、女性たちは厳しい管理下で売春を強制される」ということだ。多くの被害者はこういったDebt Bondage (借金による奴隷化)によって労働や売春を強要させられているという。

ヨーロッパにおける被害者の多くはイタリア、ベルギー、ドイツ、ギリシャなどにいるという。2006年7月、イタリア南部の地方で100人以上のポーランド人が農園で奴隷のように働かされていたのが解放されたと報じられた。衛生管理の行き届かない強制収容所のようなところで監視下にあり、逃げようとした人たちは強姦、拷問にかけられていた。

国連ではおよそ250万人の人々が人身取引され、123万人もの人々が強制労働下にあるとていると推定している。ただし、信頼できる統計を取るのは極めて困難であるという。被害者がブローカーに対する恐怖からや、警察に対する不信感から通報することが少ないらしい上、被害者が「人身取引」の被害者として扱われるよりも入管法違法者として扱われてしまうケースが多いからだ。

人身取引に焦点をあてた国内の法整備も進まず、被害者を保護・救済する社会制度が確立していないのも、被害者が絶えない要因のひとつのようだ。アメリカ国務省の年次レポートは日本が多くの被害者を生み出しているにも関わらず、政府の対応が遅いと分析している。帝国主義の国々が奴隷解放政策を実施してから2世紀経つ。しかし、新しい形で人身売買はなお存在し、奴隷化されている人々がいるという現実がある。人はいつになったら他の人を支配し「搾取」するのを止められるようになるのか。日本にはこういった犯罪が横行しているのだという認識を浸透させなければならない。

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経たあと、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。

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