世界の億万長者事情
世界の億万長者事情

今年3月までさかのぼるが、フォーブス誌が世界の長者番付けを発表している。2006年度の株式市場や不動産市場を反映しておよそ3分の2の長者たちは前年を上回ったようだ。世界のトップは13年間連続してその王座の位置を譲らないマイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏が前年比12%増の560億ドル、2位は投資家として著名なウォーレン・バフェット氏が520億ドルの資産を所有しているという。

今回調査で億万長者の該当者となった10億ドル以上所有する891人のうちおよそ半数がアメリカ国籍者で415人、ついでドイツが55人、以下ロシア、インド、イギリス人となっている。

ちなみに調査のうち一番若かった億万長者は調査当時23歳のドイツのPrince Albert von Thurn und Taxis(アルベルト・トゥルン=ウント=タクシス侯)。8歳のときに相続した資産が膨大で、現在価値が20億ドルに膨らんだようだ。対して年齢不詳の人を除き、最長老だったのは32億ドルの資産を有する、当時98歳のアメリカ人、ジョン・シンプロット氏だった。数少ない女性の億万長者で高いランキングに付けたのはフランスのリリアンヌ・ベッタンクール氏。ロレアル化粧品会社の創業者の一人娘であり、現在資産は207億ドルと推定されている。

億万長者への成り立ちはさまざまで、イギリスの貴族階級出身で所有する不動産価値や、不動産業が拡大したことによって富をなしたキャヴェンディッシュ公爵一族もいれば、上記のシンプロット氏は高校中退で豚とじゃがいもの売買で一財産を築いている。

日本の億万長者は国別で見てみるとソフトバンクの孫正義氏がトップで58億ドル、ついで森トラストの森章氏ら一族が57億ドルだ。しかし世界ランキングでみても孫氏は129位、森氏は132位と、ずいぶんと下のほうである。同じアジアの長者でもインドのミタル・スチールのラクシュミ・ミタル氏は世界ランキング5位で320億ドルと桁違いだ。ランキング入りした日本人億万長者の合計は24人で640億ドル。一方、今年日本を抜いて1位に踊りでたインドの36人の総計試算額は1910億ドルと、大きく引き離している。日本は世界的な基準からみたら、小金持ちがそこそこいる国、といったところだろうか。経済大国で先進国でもあるが、その富裕層のレベルは世界からはずいぶんと遅れをとってしまっている。

日本の富裕層は世界的な基準からすると未熟なのである。昨今、「格差社会」を懸念した声が多くなっているが、「一億総勢中流」といった国民意識をもち続けている限り、富裕層はなかなか育たないだろう。当面は「懐」ではなく「心が豊か」な国民であることを誇りに思えるように、日々心がけていきたい。

丹羽 康子/ Yasuko Niwa

英国オクスフォード大学で国際関係学を専攻し修士号取得。政治だけでなく金融知識も身に付けたいと帰国後、外資系証券会社に勤務する。日経CNBCにて経済キャスターを経たあと、現在は茶道家としての活動をすすめる側ら、金融教育やキャリア教育などの講演でも活躍中。

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